5年間赤字に耐えた「ロコンド」に学ぶ続けることの大切さ

5年間赤字に耐えた「ロコンド」に学ぶ続けることの大切さ

今やファッション通販業界は国内でも活況だ。スタートトゥデイが運営する国内最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」や、ルミネが運営する「I LUMINE」、丸井が運営する「マルイウェブチャネル」などを始めとして国内でも30サイトはくだらない。そんな中、ファッション通販サイト「LOCONDO.jp」を営むロコンドが2016年2月10日、楽天と資本・業務提携をしたとの発表があった。

ロコンド、創業5周年の節目となるこの日に楽天を引受先とする第三者割当増資を実施!SeriesEまでの累積資本調達額は約50億円へ

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ロコンドは2010年10月22日にドイツのRocket Internet社によって日本で設立。圧倒的な規模とスピードで日本最大級の靴のショッピングサイト「LOCONDO.jp」を垂直立ち上げし、設立3ヶ月弱で社員数は100人を超えるという破竹の勢いを見せていた。しかし実はこのロコンド、創業以来5年間ずっと赤字続きでいつ倒産してもおかしくなかったという。その原因はファッション通販で最も難しいとされる「返品無料」のビジネスモデルにある。

[ecko_contrast]送料無料・交換無料・返品無料の3つの無料サービスを軸に、購入後99日間はカスタマーが返品可能という斬新なビジネスモデルを日本で展開。このビジネスモデルは果たして可能なのか?[/ecko_contrast]

ロコンドのサービスの特徴

ロコンドのサービスは米国のファッション通販サイトZapposを意識したものだ。Zapposは99年に創業のアメリカのオンライン靴店。創業から10年で年商1,000億円を突破し、2009年11月に米Amazonに12億ドルの評価額で買収された。ZapposについてはCEOトニー・シェイによる「ザッポス伝説」が参考になるため紹介させていただく。

ロコンドのサービスはZappos同様、商品価格を他者と同等またはそれ以下に抑えながら、送料無料・交換無料・返品無料の3つの無料サービスを軸に展開。この返品無料というのが特徴的で、ユーザーは無料の会員登録さえすれば99日間(*1)返品が可能とあって、ファッション通販の最大のデメリットであった「試着ができない」という点をここでカバーしている。使い方は多様で、気になる複数商品をまとめて購入し、試着後に納得の行くものだけを購入し残りを返品するということも可能になるわけだ。
(*1)2016年1月現在の返品規約によると購入から21日間とされている。アパレル商材は商品の鮮度が落ちやすく、従来も2週間以内の返品が全体の80%以上を占めることから、21日以内であれば問題はないと判断したとのこと。

[ecko_wide][ecko_quote source=”ロコンド代表 田中裕輔氏”]日本のECユーザーの90パーセント以上は『試して買う』という概念をまだ知らない。『サイズが合わないEC』では、ユーザーにとってエンターテインメントにはならない。[/ecko_quote][/ecko_wide]

 

返品在庫はEC業者にとって死活問題

米国のZapposは赤字経営が5年続いたとされている。靴はファッショングッズの中でも販売するのが難しいと言われ、メーカーによって微妙にフィット感が異なりサイズ表記を正確に行ったとしても返品は避けられない。EC事業をされたことのある方ならご理解頂けると思うが、返品というのは販売者側にとって収益を圧迫するのみならず、再販が難しければ滞留在庫としてキャッシュを固定させてしまう。まして99日間は返品が無料とあれば、販売してから売上が最終確定するまで3ヶ月強も時間があるということになる。

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↑5年間赤字が続いたZapposのCEOトニー・シェイ氏

「黒字化が不可能なサービス」そう揶揄されることも少なくなかったと、ロコンドの田中代表はコメントしている。

これまで国内でも同様のサービスがなかったかと言えばそんなことはない。2014年にamzon.co.jpが別サイトで運営していた「Javari.jp」がサイトを閉鎖しamazonに統合された話はあまりに有名だ。Javari.jpは2008年11月に靴やバッグなどのファッショングッズを販売するサイトとしてローンチされ、すべての商品が365日(当初30日間だったがサービス拡充のため延長された)無料で返品可能な、いわゆる日本版Zapposだ。そんなJavariも日本での収益化は容易ではなく、ついに2014年にamazonに統合されている。

顧客満足度に徹底的にこだわった経営

ロコンドはこれまで顧客至上主義に徹底的にこだわってきたという。これはamazon.comのジェフ・ベゾス氏が掲げる企業文化に通じるものがある。サイトのUI(ユーザーインターフェース)や商品梱包へこだわる点はもちろん、カスタマーからの問い合わせや返品理由などにしっかりと目を落とし、迅速な対応を心がけることで既存顧客の満足度向上に努めた。この活動を愚直に続けることで、サイト利用者のうちリピーターが占める比率は3年前の30%前後から直近では80%を超えてきているという。

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「素晴らしいショッピング体験さえ提供できれば、あとは勝手にユーザーが口コミでアマゾンを広めてくれる」amazon CEOジェフ・ベソス氏。

ロコンドは設立当初に大々的なTVCMを打ったものの大赤字となり、あえなく堅実路線を余儀なくされた。しかしその後新規顧客に対するアプローチをさぼっていたわけでは決してない。リスティング広告やメールマガジンなど、見込み客に対する丁寧なアプローチを欠かさず行い、地道にユーザー数を積み上げてきた。

ロコンドの今期(16年2月期)取扱高は100億円の大台に到達し、来期は通年での黒字化を視野に入れ125億~130億円の売上達成を目指すと田中社長は話す。

ファッションECは新たなショッピング体験を提供していく必要がある

「品揃えが豊富」「価格が安い」「配送が早い」などECを運営する企業にとって何かしら強みを打ち出していかなければ他社との差別化が図れないが、ロコンドはその点に見事に成功したと言える。サイズが合わないかもしれない、高価なアパレルは通販では買えないといったユーザーの心理を見事に読み切り、「返品無料」というビジネスモデルで安心感を与えた。さらに当初は懐疑的だったであろうユーザーに対して徹底した顧客至上主義で対応、地道に顧客からの信頼を得てきた。

「ユーザーにどのようなショッピング体験を提供するか?」この問いへの答えが明確でなければECの世界では生き残れない。

ファッション通販大手のスタートトゥデイが提供するアプリ「WEAR」では、自分と同じ身長、似た体型のオシャレな人をフォローしておけば他人のコーディネートを参考に洋服を選べるし、着用アイテムのブランド・サイズまで記載されており、着用アイテムの画像部分はタップするとそのままそのブランドの商品ページへ飛ぶことができる。ファッション雑誌とSNSを見事に組み合わせ、ユーザーが1ステップでそのままショッピングを楽しむことができる。

楽天はバーチャル試着サービスの試験提供を開始するなど、より先進的なショッピング体験の提供に向けて動き出している。ITとの親和性が高いECでは、従来店舗販売でしか提供できなかったショッピング体験も可能になりつつある。TwitterやFacebook、Instagramなど各IT企業も、SNSのサービスを超えアプリから1ステップないし2ステップでショッピングができるよう、サービスを拡張中だ。

「ユーザーにこれまでにないショッピングを体験してもらいたい」このビジョンのもと5年もの赤字に耐え、腐らず続けてきたロコンドの今回の単月黒字発表はEC事業者にとって大きな励みになるのではないだろうか。

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ロコンドの軌跡

ロコンドの軌跡

ロコンドの軌跡(HPより抜粋)

  • 2011年10月:リード・キャピタル・マネージメント株式会社、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社を引受先とする第三者割当増資(総額7億円)
  • 2012年8月:みずほキャピタル株式会社、ネオステラ・キャピタル株式会社を引受先とする第三者割当増資(金額非公開)
  • 2013年6月:エキサイト株式会社、リード・キャピタル・マネージメント株式会社、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社を引受先とする第三者割当増資(総額6億円)
  • 2014年9月:株式会社ジャフコを引受先とする第三者割当増資(総額5億円)
  • 2015年5月:株式会社アルペンと10億円の資本業務提携
  • 2016年2月:楽天株式会社を引受先とする第三者割当増資(金額非公開)

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<Photo Credit>
Cover Photo:melfoody「Boys’ Shoes

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