伸び悩むアフリカ市場。Rocket Internetが投資するJumiaがナイジェリアで大苦戦。

伸び悩むアフリカ市場。Rocket Internetが投資するJumiaがナイジェリアで大苦戦。

ドイツのインキュベーターRocket Internetは、米国シリコンバレーの最新ECビジネスをコピーし、それを新興国で展開することを得意としている。先日アリババに売却した東南アジアのECモールLazadaや、アジアのファッションECサイトZalora、ヨーロッパを中心に家具を販売するHome24など、これらはすべてRocket Internetが投資しているサービスである。

アフリカ版Amazonを目指し2012年にスタートしたECサイトJumiaもそのひとつだ。1億7,000万人の人口誇り潜在的ポテンシャルの高いナイジェリアを中心に展開、今やアフリカ全土にそのサービスを展開している。しかし当初予想していたほど、アフリカでのECは成長スピードが速くない。現地の中流階級の人々がすぐにオフラインからオンラインにシフトするだろうというRocket Internetの目論見は大きく外れることになった。

インフラが整わないアフリカのEC事情

Jumiaは2012年にスタートした。Amazonと同じように直販型とマーケットプレイス型を並行して運用し、メーカーから商品を仕入れ、それを自社倉庫からフルフィルメントする。取り扱う商品は多岐にわたり、PCやタブレットなどの電化製品、アパレル、コスメ、食品などが並ぶ総合型ショッピングサイトだ。

彼らは今、投資家からの資金を後ろ盾にひたすら投資を続けている。ナイジェリアでは何よりまずインフラの整備が追いついていないという事情がある。eコマース事業が成立するためにはオンラインの整備だけでなく、何よりインフラの整備が不可欠だ。他の国々を見ても、インフラが追いついていない国の場合、Eコマースで普及するのはオンラインチケットなどのモノが存在しないバーチャル取引だけに留まる傾向がある。
jumia_delivery
Jumiaはその不足している部分を自社で懸命に補っている。ナイジェリアは交通渋滞がひどいが、オンタイムで届けるために、DHLなど外部の輸送会社のほか、最も注文が多いラゴス市内はトラックとバイクを使い自社配送も行う。午前中に届けるために朝5時に出発することもある。さらに物流だけでなく決済機能も補完し、クレジットカードを持たない人や前払いに抵抗がある人のために代引きを可能にした。さらに町中に実店舗のサービスショップをつくり、そこで商品と引き換えることもできるようにもした。

それにもかかわらず、Jumiaは厳しい状況に置かれている。

ビジネスモデルの変更が必要か

2013年の決算発表において、今後18か月以内で利益が出せるようになると予測したJumiaは、現在その目標には程遠い。Rocket Internetの決算発表によると、Jumiaは2016年の第1四半期で売上が1/3以上下がり、1,880万ドルの損失を出した。5月にナイジェリアで実施されたナイラ切り下げも、現在アフリカの20か国以上で事業展開するJumiaには大きな痛手となっている。これを受け、現在Rocket Internetに対する株主からの信頼は揺らぎつつある。株主たちは、その企業のポートフォリオが本当に良いものなのか、当初の予想に対して疑問を持つようになってきており、その証拠にRocket Internetの株価は今年に入り39%も下落した。

ほとんどのEC関連のスタートアップは、立ち上げ当初はマーケティング、物流、テクノロジーにひたすらキャッシュをつぎ込む。これにより売上と赤字が急速に拡大するが、投資フェーズが一段落すると黒字にシフトする。しかし、このアプローチはAmazonやAlibaba、ヨーロッパのファッションサイトのZalandoでは功を奏したものの、Jumiaに限っては同じようには行かなかった。なぜならマーケットがあまりに発展途上で物流コストが高く、費用対効果が悪すぎるからだ。さらにこれだけ投資してもなお事業規模がまだ小さく、現段階で投資を抑えるとかなりの確率で収益も減速する。

「アフリカ市場は長期的に取り組むものです。Jumiaはナイジェリアで3年から5年以内に利益が出せるようになると信じています。」JumiaナイジェリアのCEOのJuliet Amanna氏はこのように述べるが、投資家は納得しない。Rocet Internetの創業者Marc Samwerは、いわゆるAmazonクローンとしてアフリカで事業を確立する方針を変更し、自社在庫を保有・配送する事業から、アリババのように手数料ベースの収益モデルにシフトしている。

総合型ECの普及はまだ時間が必要

上記のJumiaとは対照的に、日本の中古車をアフリカで販売するBe Forwardのような企業はアフリカで順調に業績を拡大しており、一定の富裕層をターゲットにし単発での粗利が大きく見込めるビジネスであればワークしているという実態もある。また中古車のようにデリバリータイムにも余裕のある商材であればインフラ事情もさほど気にする必要がない。

資本主義最後のフロンティアと言われるアフリカだが、確かに潜在的ポテンシャルは秘めているものの、総合型ECサイトは当初の展望ほどオンライン化の流れが進まず足踏みしている。現状、売るためにインフラの整備など莫大なコストがかかり、細かな商品を売ったとしてもほとんど利益は残らない。まだ投資に対して一定の拡大路線を走ってくれれば良いが、赤字を垂れ流すばかりで、投資に見合う市場の成長スピードではないというジレンマがある。

総合型ECがアフリカで普及するにはもう少し時間がかかりそうだ。

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