過熱するフードデリバリー市場を分かりやすく解説。市場を握る鍵とは?

過熱するフードデリバリー市場を分かりやすく解説。市場を握る鍵とは?

その昔、インターネット上で食品スーパーを展開するwebvanというベンチャー企業があったのをご存知だろうか?生鮮食品を扱うECサイトで、カスタマーはオンラインで注文すれば、指定した30分枠(たとえば5時から5時半)に商品を受け取ることができる。配達料は無料で、もし配送に遅れなどが生じれば値引きを受けることができるというサービスであった。

webvan

webvanの当時の配送バン

周囲の期待とともに99年にNASDAQに上場したものの、予想されたほど市場の成長が伴わず、webvanはわずか2年のうちに倒産となってしまった。生鮮食品のECは当時まだぼんやりとしたニーズしかなく、市場がそれを求めていなかったのだ。

しかし2016年に入り、この流れが大きく変わろうとしている。

フードデリバリーの4つのタイプ

今やEC業界はフードデリバリー型のサービスがバブルのように乱立している。これは米国だけに留まらず、欧州、東南アジア、インドなど世界規模でのブームだ。EC化率がグローバルレベルで年々成長していること、またデータ解析により回転率の高い商材であればあるほど需要が読みやすいという時代の変化のもと、多くの事業者が参入している分野だ。このようなフードデリバリーサービスには大きく分けて4つのステージがあり、図示すると下記の図のようになる。
foodec
最も上流のステージ1では食材そのものを店舗販売するビジネスモデルだ。大型スーパーのTescoやWalmartなどがこれに当たり、特に説明不要のビジネスモデルだろう。

そこからステージ2に移行し、今度は生鮮食材をデリバリーする。有名どころではInstacartAmazon FreshGoogle Expressなど。実はこの生鮮食品のECはフードデリバリーの中でも最も難易度が高いと言われる。肉や野菜、魚などの鮮度の高い食品が中心となるため回転率は比較的高いものの、需要予測を間違えると大量の廃棄損を出しかねない。そのためビッグデータから高度な需要予測を行う必要があり、必然的に資金力と高度なIT技術を備えた企業が中心となってくる。

さらに下りステージ3では、今度は加工食品のECとなる。予めレシピが決まっており、それに必要な材料(一部加工済み)をECでデリバリする。有名どころではBlue Aprondinなどがこのタイプに当たる。単に食材をデリバリするのとは異なり、ユニークなレシピがプラスアルファされることで、家庭の献立をサポートするという付加価値を提供する。

そして最後のステージ4では、調理済みの料理をデリバリするMeal型ECだ。これはいわゆる出前サービスで、近隣のレストランと提携し注文を受けた料理をデリバリするというもの。最近日本に上陸したUber Eatsのほか、DoorDashJustEatなどがこれに当たる。注文後に調理が開始されるため、デリバリ体制さえ整っていれば最もリスクの低いビジネスモデルだ。

最も難易度が高いのはステージ2の生鮮食材EC

ステージ2の生鮮食材ECは回転率こそ高いものの、日持ちしない食材が多く在庫リスクが非常に高い。また初期投資が膨大にかかり、中長期的に回収していくビジネスモデルだ。過去のwebvanの失敗があるからか、なかなかベンチャーも投資を受けづらいビジネスモデルのようだ。そのため、必然的に大企業が中心となり展開していくこととなる。

先日もAmazonがAmazonFreshのSubscription Feeを値下げするというニュースがあったように、いかに市場シェアを獲得するか、どのようなサービスやツールを用意すれば消費者にとって魅力的なのか、大手IT企業がその答えを見つけ出そうと躍起になっているところだ。

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鍵を握るのはClick&Collect

いま生鮮食材のECで鍵を握ると言われているのがClick&Collectと呼ばれるオムニチャネル方式だ。これはネットで注文した商品の受取場所として、実店舗や特定のピックアップポイントを指定することをいう。カスタマーは注文した商品をどこででも受け取れるというメリットがある。

このClick&Collectはいま世界のEC事業者の間でスタンダートとなりつつあり、例えばAmazonは商品のピックアップポイントとしていたるところにAmazon Lockerを設けているし、最近ではAmazon Fresh専用の受取場所として活用できるコンビニを全米各地に設置するというニュースが流れた。

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今後のフードデリバリーの動向

フードデリバリーECは現在のところどの企業も先行投資段階であり、市場が確立されているとは言い難い。例えばBusiness Insiderの調査によると、オンラインで生鮮食品を購入しない理由として、「自分好みの野菜や果物を選びたい」と回答したのが59%、「実際に手にとって見た目や匂いや質感を確かめたい」と回答したのが49%と、まだまだ利用者の多くはECで生鮮食品を購入することに抵抗がある。
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現にインドでは、実際に多くのフードデリバリーECが立ち上がってはいるものの、そのほとんどはアメリカのwebvanのように市場成長が追いつかず失敗に終わっている。

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フードデリバリーの各ステージでどれが最も早く市場を確立するかは予測しづらいが、ECの中でも特に市場規模が大きい分野だけに、今後の動向が注目される分野であることは間違いない。

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