人工知能がEコマースで活用される3つの領域

人工知能がEコマースで活用される3つの領域

これまで多くのシーンで、人工知能が我々の生活でどのように活用されていくのかが語られてきた。車の製造から医師の診断に至るまで、人工知能には無限の可能性が秘められている。そして今回、これらの技術が数百兆円とも言われるEコマース産業に与える潜在的影響を考えてみる。人工知能とEコマースの融合は、日々発生する数千万件のオンライン取引を変えるだけではなく、実店舗でのショッピング行動をも変容させる可能性を秘めている。

このインパクトは実際にEコマースのどのプロセスで起こるだろうか。以下で人工知能の3つの導入例を見ていくが、これらは根本的に電子商取引の相貌を変え、数多くの飛躍的発展をもたらすものだ。

1. 検索能力の圧倒的な向上

EC普及の足枷になっている部分を一つ挙げろと言われればどこだろうか?議論の余地はあるだろうが、そのひとつはずばり「検索」だ。希望の商品を検索するため、正確にフィットするキーワードを選定しさらにそこから何度もキーワードを微調整してようやく探し出すという消費者側の負担こそが、人々をEコマースから遠ざける一因となっている。

例えばある買い物客が「スマートフォン アンドロイド」というキーワードを検索バーに入力する。人間の販売員であれば、それだけでは無数にあるスマートフォンの中からどれがベストなのか分からないため、さらに買い物客から情報を聞き出さなければならないことを瞬時に理解できる。

「この人はどんな色のスマートフォンを探しているのか、きれいな写真が撮れるカメラは必要か、音楽を沢山入れられる容量は必要か、希望の価格帯はいくらなのか…etc」しかしデジタルの世界ではこうは行かない。試しにAmazonで上記のキーワードを試してみると、充電ケーブルや雑誌など、関係のない商品が次から次へと表示された。
search result
これは現行の検索エンジンがコンテキスト(文脈)の流れに沿って意味を理解することができず、単に商品タイトルや商品説明のキーワードと画一的に照合し、それを基礎に結果を表示してしまうことが原因なのだ。検索エンジンのアルゴリズムの設計からして、日常生活でよく使われる言葉には特に疎い性質を持っている。

現在の検索エンジンアルゴリズムは与えられたキーワードを言語のニュアンスを含めて人間のように理解する能力を欠いている。鍵となるのは、人工知能の力に自然言語処理能力(NLP:natural language processing capabilities)を組み合わせて利用することだ。

自然言語処理は、まるで人間がその言語の意味を理解するようにテキストを理解することを追及している。ECの検索エンジンにこの能力があれば、買い物客は探している商品のニーズや自分の好み、関連する要件などを、より直感的に普段の言葉で表現できるようになる

2. パーソナルショッパーとしての人工知能

Personal Shopper(パーソナルショッパー)という言葉を聞いたことがあるだろうか?アメリカの高級百貨店などでは広くこの制度が普及しており、多くの買い物客が日々パーソナルショッパーを利用している。

パーソナルショッパーとは高級百貨店や専門店に常駐し、来店した顧客に付き添いながら顧客のショッピングのアドバイザーとなる役割を担っている。具体的には顧客の好みやサイズなど覚えておき、顧客の嗜好性に沿った商品を事前にリサーチし、その嗜好に合わせた最適な商品があれば顧客に堤案していく。またファッション関連アイテムの購入代行などを行うこともある。
Personal_shopper

人工知能が一定の進化を遂げ、現在のような単なる検索情報の受信箱のような状態から、ユーザーの行動を見越し嗜好情報などから様々な提案を行えるようになれば、そのユーザーにパーソナライズされたバーチャルアシスタントになる。これは実際、すでに開発されているのだ。

3. 我々の生活に完全に溶け込んでいくAI

iOSにも搭載されているSiriというバーチャルアシスタントがあるが、そのSiriの開発者であるDag Kittlaus氏が開発した人工知能Vivは、いくつもの複雑な要望をシームレスに処理することができる。

例えば「今日の天気は?」という単純な質問はもちろんのこと、「マイケルに昨晩の飲み物代の20ドルを払って」と命じると決済サービスを開いてすぐに送金までしてくれる。さらに「お母さんの誕生日に花を贈って」と言えばフラワーギフトの候補を表示し、すぐに購入・配送の手配をしてくれるのだ。

Vivのようなバーチャルアシスタントの最終目的は、自宅から職場、携帯端末にいたるまで、一日を通してどこにいてもユーザーと密接に関わることで、そのユーザーの生活習慣や好み、行動履歴を理解することである。多数のソースから蓄積された入力データを組み合わせ、高品質で情報に富んだレスポンスを提供するだけなく、行動、嗜好、そして将来的な購買などを予想するようになる。これが実現されれば、人工知能は我々の生活に完全に溶け込み、常に自分の一歩先を行く存在として全能の力を持つようになる。

まとめ

余談だがアメリカの発明家・未来学者で人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏は、人工知能の性能が全人類の知性の総和を越える「(技術的)特異点、シンギュラリティ」と呼ばれるものが、2045年に来ると予測している。コンピューター・人工知能の能力が、全人類を合わせた位の知能をもつようになるというのだから驚きだ。

実際、特定の分野においては人工知能は人間を凌駕している。IBMが開発した「ワトソン」は、2011年に米国のクイズ番組「Jeopardy!」でチャンピオンを破ったことで一躍有名になった。Googleの子会社が開発した人工知能「アルファ碁(AlphaGo)」は、2013年から2015年まで欧州囲碁選手権を3連覇したファン・フイ氏と対局し、5戦全勝した。

まだ特定の狭い領域でしか力を発揮できない人工知能だが、だからと言って侮ってはいけない。あと10年はかかると言われた囲碁の勝負ですら、すでに人工知能は人間を凌駕しているのだ。そしてディープラーニング(深層学習)の技術を取り入れた人工知能は、自己学習を繰り返し驚異的なスピードで今もなおその知能を高めている。

コメント0
CATEGORY :

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

COMMENT ON FACEBOOK