2015年、Amazonの最新の決算状況まとめ

2015年、Amazonの最新の決算状況まとめ

1月29日に米国証券取引委員会(SEC)からAmazon.comの2015年12月期有価証券報告書(Form 10-K)が公表された。これによるとAmazonの売上は今期初となる1,000億ドルを超え、前年比の20%増で推移している。また、黒字化を達成したAWS(Amazon Web Service)事業もEC事業に迫る勢いで成長を続けており、売上こそ78億ドルであるものの、営業利益率23.6%という抜群の収益性を誇っている。いまAmazonの事業はどのように推移しているのか、その基本的なポイントをまとめてみた。

Amazonの事業別の売上高の推移

公表されているセグメント情報によると、Amazonは事業全体を「North America」、「International」、「AWS」の3つに区分している。「AWS」のみ地域に囚われず独立させ、それ以外は「North America」、「International」として物販収益(Buy-Sell)や会員費収益(Subscription)、手数料収益(Commission)を含んだ数字となっている。
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これによると、2015年のNorth Americaの売上は63,708百万ドルであり、うち12,483百万ドルをメディア(本・CD・DVD)商品が占め、残りは家電その他日用品等のジャンルでの売上が占めている。このように見ると、Amazonは本屋としてスタートはしたものの、現在は書籍以外の売上が大半を占めていることが分かる。

北米以外のリージョン(International)も注目すべき指標だ。特に近年アマゾンはインドへの投資を積極的に行っているが、まだ売上への反応はそれほど見られない。今後インドのEコマースが爆発的に普及してくれば、North Americaと並ぶ売上規模に成長する可能性がある。

また肝心のAWS事業はというと、2014年に4,644百万ドルだった売上は2015年に急成長し、7,880百万ドルも稼ぐamazonの大黒柱に成長しつつある。ジェフ・ベゾスCEOが2年前の決算発表で「Amazon Web Servicesは50億ドルのビジネスであり、急成長中だ。実際にそれは加速している」とコメントしていた通りの結果となった。

営業利益率

続いて営業利益率であるが、2014年度に2.5%だったNorth Americaの営業利益率は今期4.3%となり、大幅な収益率の改善が行われている。Amazonの場合は顧客に還元する目的であえて低価格で商品を販売していたことに鑑みれば、昨今はあまり無茶な売り方をしなくなったのかもしれない。
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またPrime会員の増加が利益率向上に寄与していることは想像に容易い。昨今は会員向けの限定サービスを拡充することによって積極的に囲い込み戦略を行っており、2015年度にPrime会員の世帯数は4100万に迫る勢いで成長している。

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他方、Internationalの営業利益はトントンやや赤字であり、2013年頃からあまり変化は見られない。前述の通り現在投資フェーズにあるインドの状況に鑑みれば、まだマネタイズの時期は先になる可能性が高い。

最後にAWSであるが、これが現在Amazonのキャッシュカウに成長しつつある。驚異の営業利益率23%は、これまでのamazonにはないビジネスラインであり、売上こそ7,880百万ドルであるものの、その営業利益は将来的にEC事業に追いつき追い越す可能性が見えてきた。

各国別の売上高の推移

次に各地域ごとの売上を見ていく。やはり最も売上が大きいのがUnited Statesで70,537百万ドル、これは全体の売上107,006百万ドルのおよそ65%を占める。ただし、これは物販収益だけでなく会員費収益や手数料収益、AWSの売上も含んだリージョン別のデータである。したがって各国のAmazonのサイトの盛り上がりを端的に示すものではなく、若干の脳内補正は必要かもしれない。
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残念ながら日本は米国、ドイツ、イギリスに次ぐ第4位のリージョンで、国内の市場環境などを考えると今後ますます縮小していく可能性が高い。

ここで注目すべきは、アマゾン中国(Amazon.cn)の売上が圏外となっている点だ。あれだけの人口とGDPを誇りながらAmazonがこれだけ中国で苦戦している理由は、やはり現地のアリババグループの勢力の大きさに起因するところが大きい。Amazonと言えどもすべての国で成功を収められるわけではないようだ。上記のOhtersに入る国として、カナダ、イタリア、スペイン、中国、インド、ブラジル、メキシコ、オーストラリア、オランダの9カ国がある。

各事業の売上成長率

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最後に各事業の成長率をまとめる。North Americaの2015年度の前年比成長率は25%で、毎年20%以上の成長率を誇っているのは驚異的と言える。また売上だけでなくきちんと営業利益も成長させている点は驚きだ。主たる成長の要因として、

  • EC化率の上昇に伴い小売全体の売上に占めるECの割合が増加したこと
  • Prime会員費を2014年3月に$79から$99に値上げしたこと
  • 値上げしてもなお会員数増加を達成するだけの会員特典があること

などがあるかもしれない。2016年にはMarket Place(第三者が出店し販売できる仕組み)のFeeが一部値上げになったりと、本年度も売上の成長が期待できそうだ。

少し横ばいを見せているのがInternationalで、ここが今後どのように伸びていくのかが見どころでもある。市場規模のポテンシャルを考えるとやはりインド・中国の2強になってくるが、インドではFlipkartSnapdealなど現地の強豪サイトが既にあり、また中国ではアリババグループが運営する淘宝网(タオバオ)Tmallが圧倒的シャアを握っている。これらの強豪たちから市場シェアをどれだけ奪えるかが、今後のInternationalセグメントの鍵となることは間違いなさそうだ。

最後にAWSであるが、今期の成長率は前期比70%と、この3年で実に253%の成長を見せている。AWSの事業は2006年3月にスタートし、今年で10周年を迎えた。現在190カ国に100万人のアクティブユーザーがおり約70以上のサービスを提供しているAWSは、本国アメリカでは大企業や政府機関でも利用され、日本でもネットサービス企業を中心に大企業での利用も増えている。さらに最近ではAmazonがAWSを大手金融機関に売り込んでいるとの報道もあり、IBMとマイクロソフトの独壇場だった市場にも食い込みを見せている。スタートした当初はAmazonのサイドビジネスのように思えたAWSも、現在はAmazonの重要な一事業として成長し、今後EC事業よりも遥かにフリーキャッシュフローを生み出す可能性が高い。

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